技術動向
世の中の安全指向を反映して,様々なアプリケーションに対応できる温度ヒューズが求められている。
従来の大容量,温度バリエーションなどの要望に加えて,製造工程での取り付け易さ,および作業の簡素化を目的した形状や,特性面では電流ヒューズ機能の付加など,要望も多岐にわたっている。
例えば,最近急速に需要が伸びている,携帯電話やノートパソコンなどに使用する,リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの高性能2次電池の過充電保護回路への利用がある。
これらの電池は大容量・小型化が宿命でもあり,温度ヒューズには電気的特性だけでなく取り付けスペースや基板端子への接続方法も考慮した形状が求められる。この要求に応えた温度ヒューズとして,超小型(6シリーズ)や厚さ0.85mm以下の超薄型製品が,また,パック電池制御基板のFET過熱保護用として,抵抗体付サーモプロテクタ(ECシリーズ)が開発されている。(写真3)
写真3 Liイオン2次電池保護用温度ヒューズ
例 Tシリーズ
ECシリーズ
また,同一セラミック基板上に,温度ヒューズと抵抗素子を一対,或いは複数配置し,樹脂でモールドして一体化した温度ヒューズ付き抵抗器が開発され,電気毛布などのヒータ線の過熱保護として既に使用されている。(写真4)
今後,益々機器の安全性が問われ,事故の未然防止という観点に立った設計が重要視される。
従って,他の安全対策部品であるサージ保護素子や過電圧・電流保護素子との併用が増えるであろうことが予想され,これらの素子が持つ特性とよく調和し,かつ高寿命の温度ヒューズが必要となる。
写真4 抵抗一体型温度ヒューズ
例 M2E